FileMakerを遠隔接続するには


FileMakerはLAN内での共有がとても簡単なことが大きな特徴です。これは、たまに誤解されていることもあるのですがOSが持つ共有機能やDropboxのようなものではなく、FileMaker独自のプロトコルを利用した共有機能です。FileMaker Pro 12/13では自分自身のほかに最大5台までFileMakerまたはFileMaker Goでの接続が可能で、FileMaker Serverを購入すればそれ以上の台数で1つのデータベースを多数のユーザが同時に開くことができます*1

Macなら標準装備のiCloudにある「どこでもMy Mac」も利用できる

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そしてよく発生するのが、出先や別拠点から社内のデータベースにアクセスしたいという需要です。この点についてFileMakerのヘルプや解説書にはあまり詳しい記述はありませんが、それはこの話が「FileMakerではなくインターネット一般の話」となるためです。これについての基礎知識を、以下にご紹介します。

セキュリティのため外部からの通信は遮断されている

FileMakerのデータベースは、「ポート5003」というものを使ってネットワーク通信をしています。そして社内LANをインターネットに接続する「ルータ」という機器は、セキュリティのためにこうしたポートでの外部→内部の通信ができない設定になっているのです。いわゆる「ファイアウォール(防火壁)」です。

では、この「ポート5003」での外部からの通信をオンにすれば良いのかというと、実際そうした設定は可能であり、社内にあるFileMakerデータベースを外部から開くことができるようになります。ただし単にこの設定をした場合はセキュリティ面で弱いことと、インターネット接続をやりなおした際に会社側のIPアドレスが変わって接続が切れてしまうという問題があります。

【参考】FileMakerで使われるポート
http://filemaker-jp.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/12935/

VPNルータが現実的な解決法

この「セキュリティ」と「IPアドレスが変わってしまう」という2つの問題を解決する方法は「VPNルータ」を置くことがもっとも簡単で、もっとも安心です。VPNというのは「Virtual Private Network」の略で、インターネットの回線上で暗号化した通信を行うことで、まるで自分専用の回線のように使うという技術です。これの設定はそこそこ簡単で、無線LANのルータにこの機能があるものも多く、また以下のようにVPN接続に特化した製品も多く出ています。

VPNルータ「BHR-4GRV2」
http://buffalo.jp/product/wired-lan/router/bhr-4grv2/

VPN接続を使う場合は、通信速度や安定性から光回線を使うことが大前提です。そしていま使っているルータの代わりにVPNルータをつないでインターネットに接続し、各種設定を行うことになります。設定の詳細はここでは記しませんが、接続する側のアカウント名とパスワードを設定することと、IPアドレスが変わってしまうことへの対応として「ダイナミックDNS」という設定を行うというのが基本となります。ダイナミックDNSは有償・無償さまざまなサービスがありますが、ご利用のルータが推奨しているものを利用しましょう。

なおVPNルータは上記機種などであれば数千円から購入できますが、安価なものは電源まわりとかの作りはどうしても安っぽくなるので、常時接続するのであれば数万円程度のつくりのしっかりしたものを購入することをお勧めします。

出先のパソコン/iPad/iPhoneなどはVPN設定だけでOK

本社側にVPNルータを設定できたら、出先側のパソコンやiPad、iPhone側はVPN接続の設定をするだけで、別途ソフトウェアやハードウェアの導入は不要です。設定項目は、前述の「ダイナミックDNS」で設定した会社側のドメイン名と、接続に使うアカウント名・パスワード程度ですのでとても簡単です。

また、2つの地点双方でVPNルータを設定することで、拠点間を常時接続してお互いのLANを行き来することもできます。この場合は拠点間接続に対応したVPNルータが必要となりますが、これは「VPN」を前面に押し出した製品ならついていますので、カタログ等を確認してください。

VPNルータの設定は決して難しくはありませんが、インターネット接続を切ってあれこれ設定することになるので、他業務に影響の出ない時間帯にじっくり行うといいでしょう。そして必ず、何かあったときに状況を元に戻せるようにしておくことも大事です。

もっと簡単に行うなら「どこでもMy Mac」など

VPNルータなどを設定せずとも、MacOSなら「どこでもMy Mac」という無料のサービスを利用して社内のパソコンにアクセスすることもできます。これはパソコンの画面情報だけを外部に送って遠隔操作をするもので、反応速度面ではイマイチと感じることもありますが、特別な機器がなくとも利用できるというメリットがあります。Windowsにおいても「TeamViewer」や「GoToMyPC」など同様のサービスは多々あります。これらはデータベースを出先からメインテナンスする際にもよく利用されます。

なおVPNルータとこうした遠隔接続サービスとは設定が衝突して共存できないことも発生しうるので、気を付けておきましょう。


*1:FileMaker Serverは複数台接続に特化した製品で、優れた自動バックアップ機能などもあるため、業務利用であれば仮に接続台数が少なくてもFileMaker ProではなくFileMaker Serverを利用することをお勧めします。